カナダに留学するとなれば、ビザが必要となる人もいます。カナダに長期滞在する理由や期間によってもビザの種類は異なるため、ビザで問題が起こらないか不安だという人も多いでしょう。
特に日本人は海外旅行ではビザなしで行ける国がほとんどのため、カナダ留学で初めてビザを取得するという人も少なくありません。
今回はカナダの学生ビザの取得方法について徹底的に解説します。カナダ留学予定の人やこれからビザの手続きをする予定の人はぜひ参考にしてみてください。
目次
カナダの学生ビザとは
カナダの学生ビザとは
学生ビザは通称であり、正式にはstudy permitを指します。つまり、カナダで学校に通って勉強することを政府から認められていることを示すビザです。
半年以上の長期滞在を予定しており、なおかつ1個の学校に通い続ける入学許可証をもらっているという場合には学生ビザで滞在するのが1番シンプルな方法です。
カナダの学生ビザが必要な人
カナダで学生ビザが必要な人は、6か月を超える長期滞在で学校に通う人です。語学学校に通う場合も半年未満の滞在であれば学生ビザは必要ありません。
日本人は6ヶ月までであれば観光ビザでカナダ国内に滞在することができ、カナダ国内で観光ビザを延長することもできます。しかし年々観光ビザの延長の審査は厳しくなっており、申請した期間よりも短く承認されたり、承認されずに帰国しないといけなくなったりします。
カナダの学生ビザでできること
カナダの学生ビザを取得すると様々な恩恵が受けられます。半年以上の長期滞在ができるようになることに加え、カレッジや大学に通う場合にはアルバイトが許可されます。
ただし、これは語学学校に通う人や大学・カレッジ付属の語学クラスに通う人には適用されません。カナダの学生ビザでできることについては、後ほど「カナダ学生ビザのメリット」で詳しく解説します。
カナダ学生ビザの取得方法
カナダ学生ビザの費用
カナダの学生ビザは申請料が150カナダドルかかります。これは日本円に換算すると、およそ12,500円です。さらに、2019年からはバイオメトリックスを登録することが義務付けられ、この登録費が85ドルとなっています。
バイオメトリックスについては、1度登録するとたとえパスポートを更新しても10年間は再登録の必要がありません。これは14歳以上80歳未満で、観光ビザ以外で入国するすべての外国人が必要となるため、日本で登録しておくとカナダでビザを更新するのも楽にできます。
カナダ学生ビザの必要書類
パスポート
入学許可証
英文残高証明書
カナダの学生ビザ申請のために用意しなくてはならない書類は、パスポート・残高証明書(英文)・顔写真・カナダの学校の入学許可証です。その他に支払いのためのクレジットカードも必要となります。
残高証明書は留学生の不法就労を防ぐため、カナダ滞在中に働かなくても生活できるほどのお金があるかを見られます。学校の学費にプラスして1,000カナダドル×滞在月数があることが最低ラインとされています。
また、1年以上の滞在は一律10,000カナダドルあることが条件となります。しかし、これも入国管理局のさじ加減となる場合が多く、最低ラインを超えても滞在期間を短くされたり、少し足りなくてもきっちりビザがもらえたりします。
カナダ学生ビザの申請手順
まず、IRCCでアカウントを作成します。アカウント作成で取得したIDとパスワードを入力し、プロフィールを作成します。
全て英語での手続きになりますので、順を追って説明していきます。
申請手続き開始
まずは、「Apply to come to Canada」を選択。
次に、「Visitor visa, study and/or work permit」を選択。
ここからはビザの資格についての質問です
What would you like to do in Canada?
カナダに渡航する目的。「Study」を選びましょう。
How long are you planning to stay in Canada?
カナダに滞在する期間。「Temporarily – more than 6 months」を選びましょう。
Select the code that matches the one on your passport.
パスポートの発行国。
What is your current country/territory of residence? If you are presently in Canada, you should select Canada.
現在滞在している国。
Do you have a family member who is a Canadian citizen or permanent resident and is 18 years or older?
18歳以上のカナダ市民か永住権保持者が家族にいますか? 多くの人は「No」です。
What is your date of birth?
誕生日。
Are you a lawful permanent resident of the United States with a valid U.S. Citizenship and Immigration Services (USCIS) number?
アメリカの永住権保有者ですか? 多くの人は「No」です。
Have you been accepted to a designated learning institution?
認定教育機関から入学受理されていますか?
ここは「Yes」でないと学生ビザが取得できません。まだ入学受理証を持っていない方は先に学校手続きを完了しましょう。
What is your marital status?
婚姻状況は?
未婚の方は「Nevermarried/Single」を選択してください。
What is your province of destination? If visiting multiple provinces, select the one in which you will be spending most of your time.
目的地は?複数地域を訪問する場合は、最も長く滞在するエリアを選択してください。
学生ビザを取得可能な状態かどうかの結果
ここまでの回答内容に応じて、学生ビザの取得資格があるとみなされると上記のように「You may be eligible to come to Canada as a student.」と表示されます。
ここからは学生ビザの取得に必要な書類のチェックリストに必要な質問です
Are you an exchange student?
交換留学生ですか?
通常の語学留学の場合は「No」を選択。
Is work an essential component of your studies?
留学には就労が必要ですか?
通常の語学留学の場合は「No」を選択。Co-opプログラムやインターンシッププログラムに申し込む方は「Yes」を選択。
Are you a spouse, common-law partner or child of certain skilled worker or of certain full time international student that has or will have status in Canada?
カナダのフルタイム留学生か特定技術者の配偶者・内縁のパートナー・子供ですか?
多くの人は「No」を選択です。
Are you:
– A recipient of a Commonwealth scholarship; or
– A recipient of a full bursary (covering all expenses) from the Canadian International Development Agency (CIDA), including Francophonie scholarships; or
– A participant in a Canadian aid program for developing countries?
奨学金や援助プログラムの参加者ですか?
こちらも多くの人は「No」を選択。
カナダ滞在資格のある家族を連れていきますか?
多くの人は「No」を選択です。
世界のどこかで犯罪歴はありますか?
特に問題なければ「No」を選択です。
Have you had a medical exam performed by an IRCC authorized panel physician (doctor) within the last 12 months?
過去12か月間で移民局認定医師による診察を受けましたか?
Have you visited or lived in any one of the designated countries for 6 consecutive months in the last year?
昨年、6か月連続で指定国に滞在しましたか?
この質問が「Yes」だと健康診断が必要になります。指定国は以下のリンクよりご確認ください。
Do you want to submit an application for a family member?
家族のアプリケーションも提出しますか?
Are you giving someone access to your application?
誰かにこのアプリケーションへのアクセス権限を与えますか?
ご自身で申請されている方は「No」を選択。
In the past 10 years, have you given your fingerprints and photo (biometrics) for an application to come to Canada?
過去10年間で、指紋と写真をカナダ移民局に提出しましたか?
There are fees associated with this application. Will you be paying your fees or are you fee exempt?
申請料金は自身で払いますますか?もしくは免除されていますか?
通常は、「Yes, I will be paying my application fees.」を選択。
Are you able to make a digital copy of your documents with a scanner or camera?
スキャナーやカメラで書類をデジタル化できますか?
「Yes」を選択しましょう。
Will you be paying your application fees online? To pay online, you can use a credit card (Visa, MasterCard, American Express, JCB, China Union Pay) or a debit card (Visa Debit, Debit MasterCard or Interac).
クレジットカードもしくはデビットカードにて申請費用をオンラインで支払いますか?
確認画面です
内容を確認し、一番下の「Continue」を押して進みましょう。
書類をアップロードしましょう
ここまでの回答内容に応じて必要な書類が出てきますので、アップロードしましょう。
いよいよ支払いです
支払い画面にて
クレジットカードで学生ビザの費用とバイオメトリックス申請費を払いましょう。
申請書の提出が完了すると、アカウントに移民局からメッセージが届きます。これを確認したら、東京のカナダビザ申請センターでバイオメトリックス登録の予約をしましょう。
そしてメッセージが届いた30日以内にバイオメトリックスを登録して、ビザの審査結果を待ちます。
指紋認証(バイオメトリックス)の申込手順
まずは下記より指紋認証の予約サイトにアクセスください。
画面下部にて「オンライン予約」「電話予約」「メール予約」「チャット予約」「センターに来館して予約」の5つの予約方法をえらんでいただけます。
ビザ申請センターの営業時間は9-17時ですので、営業時間内にご予約ください。
電話予約
一番簡単な予約方法は「電話予約」です。0120-961-673にお電話いただくことで、コンタクトセンターが予約・変更・キャンセル手続きを行ってくれます。
チャット予約
お電話はちょっとという方には「チャット予約」がおすすめです。下記よりチャット予約にアクセスいただけます。
1.「日本語」を選択
2.下部にスクロールし、「同意します」を選択
3.氏名、メールアドレス、電話番号を入力
電話番号欄の国コードは、日本の場合「+81」です。
4.チャットが始まります
チャット欄に「バイオメトリクスの予約をお願いします。」と入力して送信しましょう。
その後はオペレーターから希望日時などを聞かれますのでご入力ください。
ご予約が完了するとメールアドレス宛に予約確認書が届きますので、印刷して当日持参ください。
指紋認証時の持ちもの
- パスポート
- 予約確認書
- Biometric Collection Letter
- 同意書
同意書は2枚目を2部印刷してご記入ください。また、3枚目は記入不要です。
カナダ学生ビザの却下理由とその対策
資金不足→多くの資金提示すると通ることも多い
学ぶ気がないと判断→再申請しても通らないことが多い
カナダの学生ビザは申請した全員が必ず審査に通るわけではありません。中には学生ビザの発行を却下され、半年以内の留学に切り替えなければならなかった人もいます。
人によって却下理由は異なり、移民局から具体的な却下理由が明かされた人もいれば却下されたことしか記載がなかったという人もいます。却下理由を明かされた人は資金不足であることが多いです。
学費以外で1か月あたり1,000カナダドルがラインとなっていますが、これはあくまで最低基準であり、これを超える額を提示しても審査官が不十分だと判断した場合にはビザは発行されません。
ただしこの場合には再申請が可能で、最初よりも多くの額を資金提示するとビザが許可されることも多いです。
次に多いのが、学生ビザの条件と申請理由が合っていないことです。カナダで学ぶ気がない・働くために長期滞在を狙っていると判断されると却下され、再申請しても通らないケースが多いです。
エッセイでは具体的にどのようなことを学びたいのか、なぜカナダで勉強したいのかなどを明らかにしましょう。
カナダ学生ビザの延長と切り替え
カナダ学生ビザの延長方法
カナダの学生ビザの更新には4週間~8週間かかるとされています。しかし場合によってはそれ以上にかかるケースもあるため、余裕をもって4か月前から準備を進めておきましょう。
まずはGCKeyに学生ビザ申請時に用いたIDとパスワードを使ってログインします。
そしてビザ申請へと移ります。事前にビザ延長フォームをダウンロードして記入し、スキャンしておきましょう。そのビザ延長フォームと、パスポートをスキャンした画像、入学許可証、資金証明、顔写真をアップロードします。
そして延長費の150カナダドルを支払うと申請は完了です。審査でビザが認証されると、カナダ国内の住所に郵送でビザが送られてきます。
カナダで他のビザから学生ビザへの切り替え方法
ワーキングホリデービザからの切り替え
ワーキングホリデービザでカナダに入国し、次に学生ビザを取得したいという場合にはカナダ国内での申請が可能です。学生ビザの延長方法と手続きはほとんど同じです。
異なるのは申請料が125カナダドルであること、申請書1枚目のB「Application to Change Conditions or Extend Your Stay in Canada as a Student」と2枚目のDにあるMY REQUESTで「Change Conditions」にチェックを入れることです。
ここに記入漏れがあった場合には審査に通ることは無いので気を付けましょう。
ビジタービザからの切り替え
ワーホリビザからの学生ビザは比較的容易ですが、ビジタービザから学生ビザへの切り替え方法は少し複雑です。カナダ国内ではビジタービザから他のビザへの切り替えはできないため、一時帰国してオンライン申請してからビザ取得後にカナダに再入国するか、アメリカにあるカナダ領事館へ郵送申請するかしかありません。
しかしビザの切り替えについての審査は年々厳しくなっており、少しでも疑われたらビザは発行されないため、切り替えたい場合には留学エージェントやビザ専門のコンサルタントに相談することをおすすめします。
カナダで学生ビザから他のビザへの切り替え方法
学生ビザで通っていた学校を卒業し、より長い期間カナダに滞在したい場合には、ビジタービザやワーホリビザに切り替える必要があります。
ビジタービザへの切り替え
学生ビザからビジタービザへと切り替えるのはオンラインで申請できます。ただしビザを申請してから結果が出るまでは国内に滞在していなければならないので、その期間中に海外旅行などに行かないようにしましょう。
必要な書類はビザ申請書とパスポート、資金証明、顔写真、クレジットカードです。資金証明は最低1か月あたり1,000カナダドル×滞在月数が必要となります。全ての提出書類をスキャンしてデータ化しておきましょう。
申請料は100カナダドルです。審査結果はメールで送られてきますが、ビザは郵送のみなので途中で引っ越して届かないことがないようにしましょう。
ワーキングホリデービザへの切り替え
学生ビザからワーホリビザへ切り替えるには、カナダ国内でワーホリに申請しましょう。申請先は日本のカナダ大使館で、通常通りワーホリ申請を行います。
ワーホリ申請料は253カナダドルであり、資金証明には2,500カナダドルが必要とされています。
日本国内からの申請と異なる点は、バイオメトリックス登録費をワーホリのプログラム費と一緒に請求されない点です。後日バイオメトリックス登録をするようにメールが届くので、支払いを済ませ、レシートを提出します。
ワーホリの許可証が送られてきたら、それを持って一度カナダ国外に出て、再入国するとワーホリビザに切り替えられます。
カナダ学生ビザ取得の3つのメリット
①6ヶ月以上の滞在が可能になる
カナダ学生ビザの最大のメリットは、6ヶ月以上の滞在が可能になることです。日本のパスポートを持っていれば6ヶ月までの観光ビザの発行が認められていますが、カナダに1度入国したら自動的に6ヶ月分の観光ビザがもらえるわけではありません。
全ては入国管理局のスタッフの判断によります。帰りの飛行機のチケットの提出を求められ、その日までの期間しか観光ビザを発行してくれないことも少なくありません。そのため、6ヶ月以上の滞在が可能で、更新する回数も少ない学生ビザは便利です。
②カナダで銀行を開設できる
学生ビザをはじめとする長期滞在用のビザを取得すると、外国人でもカナダで銀行を開設することができます。
日本からカナダに送金してもらう場合は銀行口座で受け取ることができます。また、セキュリティの面からも家に大金を置く必要が無くなるので安心できるでしょう。
特にホームステイやシェアハウスで暮らしている場合は万全な対策が必要となるため、お金のトラブルを起こさないためにも銀行口座の開設はしておいた方がいいです。
自分で口座を開設したい銀行を決め、必要書類をそろえて店舗に行きます。カナダの口座開設では事前予約が必須となっているので、電話かオンラインで予約してから行きましょう。
銀行によっては日本人が担当し、日本語でやり取りできるところもあります。銀行が混んでいなければその場でデビット機能付きのキャッシュカードが受け取れます。
③アメリカからも入国しやすくなる
アメリカを経由してカナダに行くという人もいるでしょう。特にカナダ留学前や留学中にアメリカに旅行に行く際、アメリカ入国は審査が厳しいことで知られています。
日本のパスポートを持っていればアメリカの観光ビザは必要ではなく、渡航の72時間前までにESTA渡航認証を取得しなければなりません。また、ビザなしでアメリカに入国した場合、90日以内にカナダややメキシコ、近隣諸島での滞在を含めて出国しなければならないとされています。
入学許可証があってもアメリカからカナダへの入国を拒否された例もあります。その点、カナダの学生ビザを持っていればカナダでの留学が目的であることが明らかなため入国審査もスムーズに行きやすいです。
カナダ学生ビザ取得の3つのデメリット
①必ず学校に通わなくてはいけない
学生ビザはカナダで長期間勉強するためのものです。6ヶ月以上滞在できるからといって、学校に通わずに暮らしていると、酷い場合は強制帰国となることもあります。
そのため、カナダにしっかり腰を据えて留学したいという人でなければ学生ビザは向いていないかもしれません。また、学生ビザを取得しても学校に通わない人が増えたため、審査が厳しくなり、学生ビザを発行する学校を制限していることもあります。
②取得に時間がかかる
観光ビザの場合は事前にeTAを取得することで入国できます。数日で取得できるため、2週間前などギリギリにカナダ留学を決めても問題ありません。それに比べて学生ビザの取得には2ヶ月以上かかることも少なくありません。
特に何か書類に不備があったり、バイオメトリックス登録が遅くなったりすることでビザの審査にも遅れが出てしまいます。学生ビザを取得できなければ、学生ビザの取得が求められている学校の場合、入学することができません。
前もって準備する必要があり、手続きも毎年のように変更点があったり複雑化したりしているため、ストレスに感じる人は少なくありません。
③お金がかかる
3つ目のメリットは、お金がかかることです。観光ビザの場合はeTA申請料の7カナダドルで済むのに対し、学生ビザは150カナダドルに加えてバイオメトリックス申請費の85カナダドルも必要となります。
留学前のお金を貯めたい時期にそれだけの出費がかかることは痛いですよね。しかし、6ヶ月以上留学するのであれば必要経費として考えましょう。ただ、学生ビザを取得することでカレッジや大学に就学している期間はアルバイトができる点を考えると、ビザ申請費の元は確実に取ることができます。
ケベック州での学生ビザ取得は事前にCAQを申請
ケベック州はフランス語が公用語であるなど、カナダの他の州とは異なる点が多いエリアです。
学生ビザの取得に関しても他の州とは手続きが異なっており、学生ビザの申請をする前にCAQ(Quebec Acceptance Certificate)の取得が必要です。
申請費用は$117で、こちらのリンクより申請手続きが行えます。
CAQの発行には1カ月程度かかる場合もございますので、時間に余裕を持って申請するようにしましょう。
まとめ
今回はカナダの学生ビザについて詳しく紹介しました。6ヶ月以上の長期留学の場合は必要となり、それだけ面倒な更新手続きも必要ありません。
観光ビザから学生ビザに切り替える手続きに比べると、はじめから学生ビザを取得して延長していく方法が確実で楽でもあります。ぜひ、ビザへの疑問点や不安を無くしてからカナダ留学に行きましょう。